楽布-らくふ

楽乾布-らっかんふ
(初期の成型品名)

一つ一つが、一品 ・ 手創りの、逸品

(写真と現物では色艶などに大きな違いがあります)



古来伝わる、天然樹液・漆を使った様々な技法の中に
「乾漆-かんしつ」という技法があります。
麻布などで形を造り、漆を塗り重ねる技法です。(簡略に)

奈良県の興福寺、国宝の阿修羅像はその技法で造られています。

楽布・楽乾布は、

それには足元にも及びませんが、
自分なりに布類を使って「形を創る技法」として創意工夫をし、名付けました。

麻布や木綿布などの天然素材布に漆を染み込ませ、
漆が乾燥して行くとともに
造形し固まる布のそのままの形を活かし、
液体の漆に、米粉、木粉、小麦粉、さび土などを練り合わせて「固体状」にしたものを、
少しづつ着けては固めて重ねて「厚み」を造り、形を整えて行きます。

仕上げの塗は、今のところ独自塗技法の「華塗」が主になっています。

この塗り物創りは、
時間、手間、暇、かなりかかるのですが、
結構おもしろいのです。

自然木で造られた形に、漆を施して、漆器、塗り物を造る仕事の合間に手掛けています。

 
花生け
ベニ朱渦巻き模様に濃透塗
塗りたて仕上げ・艶消し
高さ 26cmほど
巾 22cm ほど
5年4月1日 仕上がり


この花生けは、
上記の技法で、その日の仕事で余った残った物を少しづつ重ねていましたので、
思い起こすに、なんだかんだで10年は経過していたと思われます。

で、ようやく形が整い、

どんな塗に仕上げりゃいいズラ・・・。

仕上げの塗は、
工夫をした始めての独自技法になりますか、
「朱色の上に透漆を塗る-溜塗(ためぬり)」の一種になろうかと思います。

仕上がり時は、黒目の色目でも時の経過で
漆の色が徐々に透けて行き、
下塗りの「ベニ朱の渦巻き柄」が浮かび上がってくる、と思われます。

  部分拡大
下塗りのベニ朱柄が薄く見えます。



フラッシュ・接写、撮影の仕方でこんな表情も。
将来的にはここまで明るくなるかどうか

 

そして、それと同時に、
食器類よりわかりやすい塗肌の表情の変化として

手で自然に触っていることにより、
特によく触る部分は、
手油と摩擦により、漆そのものの深みある「底艶」が出てくると思われ
あまり触らない部分は、元のままのような「艶消し」として残る、かと。

漆の透き具合の変化とともに
それらの濃淡、明暗などの対比が楽しみの一つです。

そのような風合いになって行くだろうと思われる時の経過を
制作者は見て行く事ができるのか、
できない方がいいのか、
楽しみでもあり、不安でもあり。

 見方によっては、
どこの馬の骨ともわからない、名も無き者の創った塗り物です。

花生け

風紋模様に透き漆塗
塗りたて仕上げ
艶消し


高さ 27cmほど
巾 22cmほど

塗上がり時は、
上記の花生けのような
濃い目の色具合でしたが
時の経過で透けてきています
花生け

溜華塗

塗りたて仕上げ
艶消し

高さ23cm ほど
巾 22cm ほど
 

花生け として

直接、水を入れても大丈夫なのですが、
できれば何か入れ物があればと、思います。

底面は、凸凹状態です。

 グイノミ風、小鉢風、大鉢風、角型、ダエン型など
楽布・華塗の器達は、
追々掲載できればと思ってはいます。