漆のにおいの無い状態で お手元に

漆器・漆塗りを育てている時間




漆は水分を吸収しつつ新聞紙ほどの厚さでも(参考イメージとして)

塗膜の表面から乾いて(固まって)行きますので 表面が乾いていてもまだ芯から固まっておらず

それがほぼ固まるのが塗り上がり後から3ヶ月ほどの間で その後も固まり続けていると云われます。


・・・ そのため 塗る時に注意することの一つとして ・・・

漆塗膜は湿度・温度など乾かす(固まらせる)ための諸条件の中で

少しでも厚い部分などが 『チヂミ』 という現象が出来てしまうことがあります。

表面が固まっていますので数ヶ月経過しても『チヂミ』の内側はなかなか固まりません。

(その部分は処置をし塗り変えます 製品にはほとんど無い状態です)

チヂミの参考写真

「チヂミ」参考 ー 「しわ」の部分 

参照ページ 「1枚の漆」 へ


何もしない状態で新しく仕上がった漆器・漆塗りに においがある ということは

まだ漆塗膜が芯からしっかり固まっていないということもありますので

その場合は長い使用に耐えられる状態ではなく

漆塗膜を固めるために 包装ははずして 重なりのある品はそれを避け

相応の期間保管後からのご使用をお奨め致します。


米びつ(ぬか)の中に入れておくとにおいがぬける と云われたりしていますが

それはある程度 漆の乾きを促進する状態 ではないかと想像します。

その他など 「漆のにおいを抜く」 そのために何かをするという行為は

まだしっかり固まっていない漆塗膜を傷つける こともあるのではと思います

「漆のにおいを抜く」 簡単で最良と思われる方法は、

相応の期間 保管放置しておく ということと思います。


塗り上がり後相応の期間の経過でも

 「グイノミに熱燗を入れると漆のにおいが気になる」 ことがあるようです

日本酒は人肌のお燗が漆のにおいも無く やはりおいしく飲め気持ちよく酔えると聞きます


お椀などもその状態でにおいが発生していると思います 

「味噌汁は味噌の香りが強く」 「アツアツ・ホクホクのご飯をよそった時」 にもそれがある時がありますが

でもそれらは邪魔になるにおいではなく ホワっとした温かみのあるにおいではないでしょうか。


そのようなこともあり 新しく製作ご注文いただく時など

できるだけ余裕を持たれご依頼いただきたく思いますが

それぞれ諸事情もありますので ご要望につきまして充分にご相談し対応致したい と考えています

その場合なども 「塗り上がり日」 と上記内容のような説明文(抜粋)を副えるようにしています


塗り上がり後しばらくは当方で保管も致しますので、その期間も含めて納品目安日をお伝えしています

ご注文時などには上記のような説明もさせていただいております。


新しく製作ご注文いただく時など 

仕上がりに相応の期間をお待ちいただき 

お手元にお渡し後もしばらくの保管をお願いし

漆器・漆塗りは少々難しい塗料でしょうか 

私も 「何にしても待つのは好きではありません」 が

製作も各作業工程を固めながらできるだけしっかりと造りたいと思っています

環境にやさしい「自然の植物樹液・漆」の特性をご理解いただき


お待ちいただくその時間も 「漆器・漆塗りを育てている」 という気持ちを持って下さると

ありがたく思います



それによりさらに愛着も湧き 修理・塗り変えも含めまして

より末永くご利用いただけることと思います。


当店・工房の想いの一つとして 末永くお付き合いさせていただきたく

出来る限り 「漆のにおいの無い状態」 でお手元にお渡ししたいと考えています。

上記は 

西チキリヤ漆器店独自の考え方 です。

 品物・塗技法・使用方法等により違いがあります。

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